【将来安泰ではない?】30歳目前で公務員を辞めた理由

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「安定した雇用」というものが信じられなくなり、転職も珍しくなくなった今だからこそ、改めて注目されているのが公務員という働き方ではないでしょうか。

公務員になっておけばよかった⋯⋯

公務員なんかになってもしょうがないよ

そんな両方の意見を目にすることも多いですよね。

筆者である僕は、大学を卒業してから約5年間市役所職員として働き、28歳のときに公務員を辞めました。

転職後はさまざまな困難があり、今は派遣社員として働いている身ですが、公務員を辞めたことを後悔したことはありません。

そこで今回は、僕が公務員を辞めた理由をご紹介します。

「とりあえず公務員になれば大丈夫!」という考え方が危険な理由などについても紹介しますので、これから公務員になろうか考えている人の参考にもなればうれしいです!

ふみばら

僕自身、なんとなく公務員になってしまった人なので⋯⋯^^;

こんな人にオススメ
  • 公務員という働き方が気になっている
  • 公務員の体験談を知りたい
  • 公務員を辞めようか迷っている
記事を書いた人
ふみばら
  • 大学卒業後、約5年間市役所の一般行政職員として勤務
  • 30歳目前で市役所を退職
  • 転職後は紆余曲折あり、派遣社員になる(2024年時点)
  • 派遣+副業という働き方を満喫中
目次

結論:将来安泰とは思えなかったから

僕が公務員を辞めた理由を一言で言うと「将来安泰とは思えなかった」から。

  • 生涯年収がそれなりに高い
  • ボーナスや退職金をきちんともらえる

という公務員のイメージは、ほとんどの場合正しいと思います。
(僕が働いていた市役所は財政状況がよくなかったので、ボーナスや退職金の減額が危ぶまれていましたが(笑))

ですが、「この環境であと30年以上働くことが想像できない」と感じるようになってしまったとき、それらの公務員の魅力は薄れてしまいます。

  • このまま我慢して数十年後に得るお金と、若いうちにチャレンジすることのどちらに価値があるだろうか
  • そもそも自分はこの職場で仕事を続ける気力を持ち続けられるだろうか
  • 公務員を続けた先で後悔はしないだろうか

そういったことを自問自答した結果、僕は公務員を辞めるという決断をしました。

ふみばら

市役所の激務で心身を壊しかけた経験があったことも決断材料になりましたね

30歳目前で公務員を辞めた理由

それでは、僕が務めていた市役所を辞めた理由を具体的に紹介していきます。

主な理由は次のとおり。

  • 建設的な行動ができなかった
  • 自浄作用がない組織だった
  • 職員を大切にする風土がなかった
  • 保身に走る上層部
  • 40代になってから後悔したくなかった

建設的な行動ができなかった

先程も書きましたが、僕が働いていた市役所はあまり財政状況がよくありませんでした。

具体的なエピソードを挙げると、

  • 幹部級の職員の昇給額が下がった
  • コピー用紙の在庫がなくなる
  • 異動した上司がホチキスの芯をもらいに訪ねてくる

などなど。

ふみばら

紙での書類保存にこだわるのに、コピー用紙がなくて印刷できないのはもはやギャグですよね(笑)

そんな状況だったら「無駄な予算は使わないようにしよう」「お金を使わなくても状況を改善できる方法を探そう」と考えるのが一般的ではないでしょうか。

しかし僕がいた市役所では

予算は何が何でも使い切るもの!

なんかよくわかんないし、今までの方法と違うからダメ

という昔ながらの価値観や、思考停止に近い前例踏襲がまかり通っていました。

財政面以外の、職場環境の改善や職員の教育などについても同じような状況だったため、意見提案などをしても門前払い。

「より良い職場にしていこう」という考えを共有できる人も少なく、息苦しさを感じることが多くありました。

ふみばら

せっかく長く働ける職場のはずなのに、前向きに働くことができないのはもったいないですよね

自浄作用がない組織だった

皆さんのイメージどおり、市役所の職員はほとんどクビになることはありません。

そのため「この人、大丈夫か⋯⋯?」という人がベテランから若手まで幅広く存在します(笑)

一番の問題は、そういった職員を教育しようという発想がないことです。

先輩や上司にあたる職員も「こいつは困ったやつだ」という評価を下すだけになってしまい、人事課もとりあえず異動させるという消極的な手段しか取りません。

そのため、どの課にも一人以上は困った社員がいるというような状態でした。

ふみばら

市役所は離職率が低いので、教育体制の整備はとても良い投資のはずなのですが⋯⋯

ちなみに僕がいた課は半分以上が新卒で配属されたメンバーだったのですが、後輩への指導をする環境づくりができていたおかげで他の課以上にスムーズに仕事を進めることができていました。

「異動した先でも後輩を指導する環境づくりができれば、少しずつ市役所を良くしていけるはず!」という個人的な目標も持っていましたが、異動を経験する前に辞める決断をすることになってしまいましたね^^;

職員を大切にする風土がなかった

職員を教育しようとしないことは、職員を大切にしないことにつながっていきます。

以下は、とある日の僕と同期職員の会話です。

同期

うちの課に来た新人が電話に出ないし窓口対応もしないし本当に使えないんだよ!

ふみばら

いやいや、ちゃんとできるように教え方を工夫すればいいんじゃないの?
やり方に不安があるからできないだけかもしれないじゃん

同期

わからなくたって先輩の代わりにそれくらいやるのが普通だろ!?
今さらアイツに何を教えたって無駄だよ!

ふみばら

えぇ〜⋯⋯

これは僕の同期が特別に過激なわけでなく、市役所内ではよく聞く話でした。

異動してきたり新規職員として仕事を始めて間もなかったりする人に対して、
「〇〇課の新人は使えないらしい」
「そっちの課は優秀な人が入ってうらやましいな」

というような評価をすぐに下してしまうんですよね。

今後同じ市役所の職員として数十年一緒に働くかもしれない人に対して、ろくな教育や指導をせずに文句だけは言うという環境が僕はとても嫌いでした。

そして教育や指導をしてもらえなかった人はどんどん仕事への自信や意欲をなくし、そのしわ寄せは「できる人」と評価されている一部の職員にいってしまうという悪循環に⋯⋯

「人を大切にすれば、仕事のクオリティや効率も上がるし、職場環境も良くなる」
「だから、まずは自分たちが後輩にきちんと指導をして、人材育成ができる人を増やしていこう」

という意識を同期や先輩たちと共有できていたら、市役所で働き続けていたかもしれません。

保身に走る上層部

市役所では基本的に年功序列で役職が決まっていきます。

一般職員の最高の役職である部長級になるのは、早くても50代後半。
60歳の定年退職まであと数年というタイミングです。

そこで部長級の職員が何を考えるかというと、

俺が退職金をもらうまで、なんとかやり過ごそう⋯!

ということです。

もちろん、そういった考えを持つこと自体は悪いことではありません。
それが普段の仕事ぶりからもわかってしまうことが問題なわけで⋯⋯

部長級ともなると、決裁権も強く、一般企業でいえば経営陣に近いポジションです。

そんな組織の方向性を定めるポジションの人が、「いかに残り数年を平穏に過ごすか」を重視してしまっていたら、良い組織づくりができるはずはないですよね。

ふみばら

僕の上司に当たる部長も「俺が辞めるまでは大人しくしててくれよ」と笑いながら他の職員と話したりしていました^^;

40代になってから後悔したくなかった

公務員は業務内容や頻繁に異動があることから、転職のときにアピールできるような専門性や業務経験を持つことが難しいです。

ふみばら

僕も市役所ではずっと広報を担当していましたが、民間企業の広報とはかなり性質が違っていたと思います

そのうえ、ここまで紹介してきたように市役所に不満を抱えていた僕は、次のようなことを考えました。

  • このまま市役所で働き続けることができるだろうか
  • 40代になって、「転職したい」と思ってもきっと難しい
  • 40代で後悔を感じた場合、その先の20年を無気力に働くことに耐えられる気がしない

そして
「40代になってから後悔したくない」
「転職をするのなら、30歳を迎える前にチャレンジしたい」

と思い、市役所を辞める決意をしました。

余談:公務員を辞めてからのこと

さまざまな理由から公務員を辞めた僕ですが、その後のキャリアは厳しいものでした。

まず、プログラミングを学んでWebエンジニアとして転職した会社で適応障害を発症。
自分の身を守るため、逃げるように短期離職をしてしまいました。

その後、アルバイトなどでリハビリをして就職活動を再開。

公務員の経験を活かせるように事務職の仕事に就きましたが、続いての2社でも勤務1年未満の短期離職をすることになりました。

そして正社員にしがみつくことを諦め、2022年10月から派遣社員として働きながら副業をする生活を送っています。

公務員からの転職の結果としては、大失敗だと思います^^;
適応障害になって、職を転々とすることになってしまった数年間は、本当にツラい時間でした。

ですが今は、派遣社員としてストレスなく働きながら、フリーランスになることを目標に副業に取り組むことができています。

ふみばら

前向きな努力ができるようになったのはうれしい変化ですね

また、「市役所を辞めなければよかった」と後悔したことはありません。

自分が前向きに働ける職場ではないことはハッキリとしていましたし、
「将来の収入や退職金のために我慢し続けるよりも、若いうちの時間を大切にしたい」
と決意を固めて辞めることができたからだと思います。

実際に今も、非正規社員という不安定さはあるものの、生活や将来に向けた取り組みを楽しむことができています。

公務員こそ職場環境が大切

「とりあえず公務員になれば大丈夫!」という考えはまだまだ根強いですが、ここまで記事を読んでもらえた人にはそうじゃないケースも多いということは感じてもらえたと思います。

長く働き続けることが前提の公務員こそ、職場環境が大切です

そこで、これから公務員を目指そうとしている人や、今まさに公務員の職場で悩んでいる人への僕なりのアドバイスをしたいと思います。

魅力がある職場であるかを見極めて

特に地方公務員の場合、「家から近いから」といった理由で志望先を決めてしまうことが多いと思います。

ふみばら

実際に僕もそうでした^^;

ですが最低限、次のことを調べてから志望先を決めることをオススメします。

  • 財政状況が健全であるか
  • 魅力的な取り組みや住民サービスなどを行っているか

財政状況は、残業代や退職金に影響したりする可能性があるだけでなく、職場環境にも大きく関係する部分なのでぜひ抑えておいてください。
(僕がいた市役所では定期的に雨漏りするなど、財政難エピソードには事欠きませんでした)

また、自分が魅力的に感じる取り組みなどを行っているかどうかも大切です。

実際に自分がその事業に携われるかは配属先次第ですが、「自分の職場にはこんな良いところがある」と思えることは、仕事へのモチベーションを保つ力になってくれます。

ふみばら

公務員に安定を求めるなら、なおさらしっかりと下調べをしてみてください!

自分の手の届く範囲の環境を変えてみよう

今まさに公務員の職場で悩んでいる人には、自分の手の届く範囲だけでも環境を変えてみることをオススメします。

たとえば僕の場合、新人だったときに先輩に仕事を教えてもらえなかったことや無駄に思えるような作業で残業が発生してしまうことに悩んだ経験があります。

そのため、後輩に対しては

  • 仕事はわかるまで教えるし、5分悩んで進展がなかったらすぐに相談するように伝える
  • 業務効率化などのアイディアがある場合は、具体的な反論がなければ積極的に取り入れる

というスタンスで指導を行っていました。

そのかいもあってか、仕事を抱え込んで悩んでしまう後輩はいなかったですし、仕事もスムーズに進んで課全体の残業を減らすこともできました。

ふみばら

他の課の人から「君の課は楽しそうで雰囲気が良いよね」と言ってもらえるのはうれしかったですね

自分が少しの気配りをしたりするだけで、働きやすい環境を作ることもできますので、ぜひ試してみてください。

まとめ:「公務員だから⋯」に縛られないで

とりあえず公務員になれば安泰だよね

公務員を辞めるなんてやっぱりもったいないかな⋯

そんな「公務員だから⋯」という考えを持っている人も多いと思います。

もちろん収入や社会的な信用の面で、公務員が安定しているというのは事実です。

ですが、「自分がどんな暮らしや働き方をしたいのか」ということを考えずに、思考停止して公務員になる/続けるというのはオススメしません。

この記事が今後の働き方を考える参考のひとつになればうれしいです。

最後になりますが、僕は公務員という仕事自体は良い仕事だと思っています。

ふみばら

今でも、災害時や選挙のときには「頑張ってくれ⋯!」と思ってしまいます

働く場所が違えば、僕もまだ公務員として働くことができていたかもしれません。

これから公務員を目指すという人が、長く働き続けることができる良い職場と巡り会えることを願っています!

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